今は街中やテレビなどで気になる音楽が流れると、検索かければすぐに誰のなんという曲かが分かる便利な時代です。
昭和の時代はネットもないため、街中で気になる音楽を聴いたとしても、それの曲名やアーチストすら分からない。
だから、アーチストのファンになるには、テレビやラジオ、雑誌もしくは友達からの紹介くらいしかないのです。
すごく狭い可能性の中で子供の頃は過ごしてきたのである。
僕が中学生くらいの頃の話である。
そのころはテレビなら「ザ・ベストテン」、ラジオなら「ABCヤングリクエスト」などのランキング番組を毎週かじるように見聞きしていた。
なんなら、ラジカセをテレビの前にもってきて録音していたくらいである。
その中で、いわゆる歌謡曲が好きな音楽でした。
あるとき、父親に吉本新喜劇に連れて行ってもらったことがある。
漫才のコーナーで芸人さんがステージに出るときに出囃子の代わりにロックが流れた。
サバイバーのアイオブザタイガーである。
あの印象的なギターのリフ。
めちゃしびれました。
それまで歌謡曲で育ってきた自分の耳には衝撃的でした。
当然、曲名やアーチストが誰なのかすら知りません。
もちろん父親も知らない、友達に口で説明しても知らないという。
数か月後、ラジオか何かでその曲が流れてやっと曲名が分かった。
そのころには興味も半分失せていた。
もし、あのときネットがあって曲名やアーチストがすぐにわかっていたら、すぐにレコードをレンタルして聴いていたであろう。
ギターに興味をもって始めたかもしれない。
もともとピアノをやっていたこともあって、ギターよりもピアノやキーボードを使った曲やアーチストが好きになっていたことも、ギターに興味を失くしていた原因かもしれない。
友達からビリージョエルを教えてもらったり、TMネットワークを好きになってシンセとかにも興味を持つようになった。
そうなると、キーボード系の雑誌を読むようになって、そこからキースエマーソンとか坂本龍一とかカシオペアとか鍵盤系の人の音楽をより聴くようになった。
FMラジオの雑誌も当時あって、そこに載っている番組表をしらみつぶしに調べて好きなアーチストのコンサート音源などをラジカセで録音したりした。
今の人はYoutubeですぐに調べられてほんとにうらやましい。
当時はテレビとかで流れていても曲紹介が無ければ本当になんの曲かすらも分からないのですから。だから結構ラジオはよく聴いたな。曲名をメモってレンタルレコード(のちにCDになるのですが)屋さんに通ったものです。
惜しいことをしたなぁと思うのは、鍵盤楽器が好きだったので、ギターメインのバンドを食わず嫌いしていたことです。
今でこそハードロックなんかも全然聴くし、ギターのサウンド大好きなんですが、当時は「鍵盤楽器メインのバンドこそ至高」と勝手に思っていた。
難波弘之さんとか、KANさんとか、ビリージョエル、クラムボン、ヒーリング系だと喜多郎とか、そんな鍵盤系の音楽ばかり聴いていた。
もったいないことをしたなぁ。
違った音楽の聴き方をしていたら人生変わったかもしれないな。なんて思うのです。