お題「これまで生きてきて「死ぬかと思った」瞬間はありますか?身体的なものでも精神的なものでも」
小学生のころは怖いもの知らずでした。
友達と遊ぶときは冒険的なものをよくやっていました。
例えば、家の屋根に上って下に飛び降りたり、どぶ川に入って暗渠を探検したり、そこには大量のフナが住んでいて網で捕りまくったり、自転車で隣町まで遠乗りしたり。
ある日友達と数人で武庫川という河川敷でバッタやコウロギなどを捕って遊んでいた。
一人の友達が「武庫川をあるいて、むこうがわに行こう」と子供ながらに抜群の親父ギャグを交えて提案した。
橋を渡って向こう側に行くのは普通のこと。
それを川の中を歩いて渡るなんて楽しそうじゃないか!
子供の冒険心に火がともりました。
「よっしゃ行こうぜ!」
即決で友達数人で川に入りました。
真夏の暑い日だったので、川のなかは冷たく気持ちよかった。
最初はヒザくらいまでの水位だったが川の中ほどに進むとだいたい胸くらいまでになってきた。
なんとなくヤバいかなぁ、と思っていたら、
「ふわっ」と足が浮いてみるみる流されてしまったのです。
自分だけ体重が軽かったのか、周りの友達は流されずに、自分だけが下流に。
友達の姿がみるみる離れていきます。
「これってヤバいんちゃうん?」と思い、
「助けて~、助けて~」と大きな声で叫びました。
まるで漫画のように大きな声で助けを求めました。
深いところに入ったのか足を動かしても地面は無い。
ときどき水を飲んで視界が水の中になったりする。
「あ~、このまま死ぬのかなぁ。なんかあっけない人生だったなぁ」と思っていると、足に砂の感触が!
浅瀬になんとかたどり着いたようで、立ち上がると腰くらいの深さになっていました。
上半身が外気で急に暑く感じたのを今でも覚えています。
「あ~、無事でよかった~」
さっきまでの死ぬかもと思っていた気持ちはどこへやら。
友達も下流まで一緒に見守ってくれていて、岸で待っていてくれた。
武庫川の汚い水を飲んでしまい、気持ちわるいなあと、冗談を言えるくらい自分でも驚くほど正気でした。
夏になると、ニュースで川での事故が毎年伝えられるたびに、このことを思い出してしまいます。
しょうもないギャグから始まった遊びで死んでたらシャレにならないですからね。
生きててよかったです。